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極北で先住民と気候変動を写す — 写真家・遠藤励

ストーリー漫談📅 2026-08-25

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🎙 語り部の漫談「極北を写す人」

さて皆さん、雪というものを、皆さんは恐ろしいと思いますか、それとも美しいと思いますか。ねえ、見る人によって、まるで顔を変えるものでございます。

今日お話しいたしますのは、その雪と一生付き合うことになった一人の写真家。遠藤励さん。一九七八年、長野県は大町の生まれでございます。

幼い頃から雪に親しみ、やがてスノーボードにすっかり魅了されたお方。一九九七年からは、その滑り手の姿を、誰に習うでもなく、独学でカメラに収めはじめたと、こう申します。

ところが、この遠藤さん。近頃はもっと遠く、もっと冷たいところへ足を運ぶ。北極圏に、シベリア。そこに暮らす先住の民と、変わりゆく環境を、じっくりと記録しておられる。

グリーンランドのイヌイット。シベリアのネネツ、トナカイを追う遊牧の民。そういった方々の暮らしに、ぐっと寄り添うのでございます。

そして遠藤さんは、こうおっしゃる。『この十五年で、海の氷が張る時期は、一年でなんと三カ月も短くなった』と。皆さん、三カ月でございますよ。氷の上で生きる人にとって、これがどれほどのことか。

極北の村にも、資本主義というものは押し寄せてまいります。ゴミの問題、お酒に溺れる人々。遠藤さんは、そのありのままも、目をそらさずに写しておられる。

『どこまで行っても、資本主義が追いかけてくる』。そう、ぽつりとおっしゃる。地の果てまで逃げても、ねえ、ついてくるんですな。

あるときは、一頭で千キロを超えるというセイウチの狩りに同行し、その解体まで手伝ったと申します。ただ眺めるのではない。暮らしのただ中へ、身ひとつで飛び込んでいくお人でございます。

撮影の地は、マイナス二十度、三十度の世界。そこで遠藤さんが手放さないのが、ゴアテックス。とりわけ汗を逃がす透湿の力を頼りにして、こうおっしゃる。『毛皮の代用として選んでいる』と。

なるほど、極地の民が毛皮にいのちを預けるように、遠藤さんはその一着にいのちを預けて、シャッターを切るわけでございます。

その働きが認められ、二〇二四年には日本写真協会の新人賞、そして笹本恒子写真賞を受けられた。遠い氷の上の物語が、こうして私どもの元へ届いたのでございます。

遠藤さんは申します。『極地の民族の暮らしを追うと、自分たちの社会が、鏡のように映し出される』と。遠くを写したつもりが、写っていたのは、案外、私たち自身だったのかもしれません。

氷が溶けるのを、対岸の火事と笑えるかどうか。さあ、皆さんはいかがでしょう……と、しんと考えさせられる、極北のお話でございました。

📋 公式の回答

遠藤励(えんどう つとむ)は1978年長野県大町市生まれの写真家。幼少期から雪に親しみスノーボードに魅了され、1997年からスノーボーダー撮影を独学で開始。近年は北極圏やシベリアの先住民族と環境変化をドキュメンタリーで記録し、2024年に日本写真協会新人賞・笹本恒子写真賞を受賞。グリーンランドのイヌイットやシベリアのネネツ(トナカイ遊牧民)の生活を撮影し『この15年間で海氷が張る時期は1年で3カ月も短くなった』と気候変動を指摘。資本主義の浸透によるゴミ問題やアルコール依存も記録し『どこまで行っても資本主義が追いかけてくる』『極地の民族の暮らしを追うと、自分たちの社会が鏡のように映し出される』と語る。1頭1000kg超のセイウチ狩りに同行し解体も手伝った。マイナス20〜30度の撮影でGORE-TEXを愛用し、特に透湿性を重視、『毛皮の代用として選んでいる』と表現する。

出典:GORE-TEX 記事『極北の地で写真家・遠藤励が写し出す先住民族と気候変動のいま』↗
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